「ハンターカブの本格的なメンテナンスを自分でやってみたい!」
ーーそう思うことありませんか?
スプロケット交換の難易度が高くないですが、とにかく準備が面倒…。
今回はスプロケット交換のやり方を分かりやすく紹介!
スプロケット交換初心者でも分かりやすいように、写真付きで解説します。
是非、スプロケット交換に挑戦してみて下さい。
CT125ハンターカブのスプロケット交換に必要な物

今回はスプロケット+チェーン交換なので、これくらいの準備が必要です。
…とは言っても、大半は他のメンテナンスや部品交換に使うものなので、用意して損はありません。
交換するスプロケット
ハンターカブのスプロケット歯数は14Tがデフォルトです。

特別な理由(チェーン長さを変える、コマ数を変えたいなど)がなければ、歯数14Tのスプロケットを用意しましょう!
チェーン(スプロケットの歯数を変える場合)
同じ歯数のスプロケット交換ならチェーン交換は不要です。
ただし、スプロケットの歯数を変更するならチェーン交換は必須になります。
スプロケットの歯数が変わると、チェーンのコマ数(リング数)が変化するので、それに対応したチェーンにしないと取り付け不可能です。
「コマ数が足りない写真」
今回はスプロケットの歯数を15T→14Tに戻す作業なので、チェーン交換も合わせて行います。(チェーンのコマ数は110→108になります。)
フライヤー(チェーン交換するなら必要)
チェーンのクリップを外す際に使います。
クリップを外すだけならラジオペンチでも良いですが、チェーンを交換する場合は種類によって必須になる工具なので、作業前に確認しましょう。

どのチェーンの種類が特殊加工が必要になるかこちらから確認してくだい。
チェーンメーカー | 種類 | 理由 | 対処法 |
---|---|---|---|
RKチェーン | シールチェーン | コマ数が110 | スプロケットの歯数を変える |
EK(江沼)チェーン | シールチェーン | セミクリップ式 | フライヤーで圧着 |
カシメ式の チェーン全般 | ー | カシメ式は専用工具必要 | 工具を買うかバイク屋に依頼 |
10mmと12mmのコンビネーションレンチ
チェーンアジャスターを緩めるのに使います。
増し締めする際、10mmと12mmのレンチが必要なので2本準備しましょう。

8mm/10mmのソケットレンチ
8mmはトランスミッションカバーを外すのに、10mmはスプロケットを固定するボルトを外すのに使用します。
トランスミッションカバーのネジ穴が小さいため、大きいサイズのソケットレンチだとソケット外周が干渉して入らないことがあるので要注意!

ちなみに私は入らなかったので、作業中断して買いに行きました…。
皆さんは作業前に、持っているソケットがちゃんと入るか確認しましょう。
12mm/14mm/19mmのソケットレンチ
アスクルシャフトを緩めるのに使います。
19mmのソケットレンチはトルクレンチで代用可能です。

トルクレンチ(59Nm対応)
アスクルシャフトのトルク管理に必要です。
24[Nm]もカバーしてるレンチを買うとオイル交換の時にも役立ちます。
パーツクリーナー
パーツ洗浄に使います。
基本的に何でも良いですが、ホムセンのパーツクリーナーでシールチェーンを清掃しない様に注意して下さい。
Oリングのシール効果が低下して一気に劣化するからです。
潤滑油(チェーンルブ)
取り付けたチェーンや交換したスプロケットに塗布します。
5-56は潤滑油ではないので要注意!
ウエス
布であれば何でもいいです。
キッチンペーパーやティッシュは脆いので、すぐボロボロになります。
ハンターカブのスプロケット交換の流れ
CT125ハンターカブのスプロケット交換は大がかりな作業です。
事前に作業の流れを把握しておきましょう。
1.チェーン関係の作業個所を緩める
2.トランスミッション周りのカバーを外す
3.スプロケットの交換
4.カバーを復旧します
5.チェーン調整
チェーン調整の詳しいやり方はこちらの記事にまとめています。
どんな作業か事前に知っておくと、作業が効率良く進むので参考にして下さい!
➔【CT125ハンターカブ】チェーン調整徹底ガイド|チェーン調整Q&A付き
1.チェーン関係の作業個所を緩める
スプロケットを交換にあたって、チェーンを緩める必要があります。
チェーンが張っていると、スプロケットが抑えられて交換が困難になるためです。


チェーンアジャスターとアスクルシャフトを緩めます。
緩める順番はどちらでもOKです。


アスクルシャフトを緩めるとホイールが動くので、フロント側に押します。
そうするとチェーンが垂れるので、これでスプロケット交換が可能です。


チェーンを観察すると、一つだけ違うチェーンが見つかると思います。


これがチェーンクリップです。
フライヤーを使って、このチェーンクリップを外します。


チェーンクリップを外す際は、ギアを入れると作業しやすいです。
こんな感じにチェーンのクリップがズレたら…


マイナスドライバーでクリップを回転させて縦方向にします。


マイナスドライバーの先端をクリップの割れ目に差し込んで、丸みのある方をラジオペンチなどで引っ張ると外れます。


クリップが外れると、パーツが分離します。


2.トランスミッション周りのカバーを外す
スプロケット交換するために、トランスミッション周辺のカバーを外します。
まずは外側のペダルカバーから外しましょう。


ペダルカバーは12mmと14mmのソケットレンチで外れます。
カバーを外すとこんな感じです。


上側のボルトにワッシャーは紛失しないように注意!
次に、トランスミッション本体のカバーを外します。


ここは上下2か所とも8mmのソケットレンチで外せます。


下ネジの位置はトランスミッションのカバーの真下です。
3.スプロケットの交換
トランスミッションのカバーを外したら、スプロケットを交換しましょう。


ボルトを緩めると、スプロケットが簡単に外れます。
ここのボルトは10mmのソケットレンチです。


そのまま回すとスプロケットも一緒に回転するのでギア入れて固定しましょう。
作業の邪魔になるようならチェーンを外してもOKです。
ボルトを外したら、留め金を外します。


留め金は切り欠きが、すり抜けるように回転させてから引っ張ると外れます。


スプロケットの留め金だけを回して写真の位置に持って行くとOK!
留め金を外したら、スプロケットが外れます。


スプロケットの歯は問題なさそうですが、サビが酷いですね…。
古いスプロケットを外したら、新しいスプロケットを交換。
キコダのスプロケットは、裏表があるので注意してください!


スプロケットをシャフトの切り欠きに合うように挿入します。


奥までスプロケット押し込まないように注意!
ハンターカブの下から撮影した写真です。


写真のように隙間が空くようにしてください。
次に留め具を挿入して、スプロケットを固定します。


ボルトをしっかりと固定したら、スプロケット交換は完了!
ちなみに、スプロケット固定ボルトは締め付けトルク12 Nmです。
スプロケットを固定したら、チェーンを再装着します。
私は作業と撮影がしやすいようにチェーンカバーを外していますが、ここは任意ですので必要に応じて外して下さい。


チェーンカバーのボルトは5mmの六角レンチで外れます。


完全に外れるというよりは、手が入る隙間が出来る程度です。


写真のように手で押すとカバーが浮く程度。
リア側のスプロケットからチェーンを乗せます。


リアホイールをゆっくり回しながら、フロント側のスプロケットにチェーンを送り出しましょう。
リア側から送られたチェーンを、スプロケットにチェーンを乗せます。


ホイールをゆっくり回しながらチェーンを送り、末端と同士を引き寄せます。


「なぜかチェーンの長さが足りない…」となる人は以下の順で確認して下さい。
チェーンの伸びに合わせて、ホイールも後退しています。
一度、ホイールを前に押し出してチェーン調整目盛りを確認しましょう。


それでもチェーンの長さが足りない場合、チェーンの中腹辺りを確認して下さい。
こんな感じのパイプに引っ掛かってることがあります。


このパイプの上にチェーンが来るようにしましょう。
それでもチェーンの長さが足りない場合は、前後のスプロケットに印字されている歯数と下表を照らし合わせて間違いがないか確認して下さい。
ハンターカブの車種 | フロントのスプロケット | リアのスプロケット |
---|---|---|
JA55 | 14T | 39T |
J65 | 14T | 38T |
それでも原因が不明の場合は、チェーンのコマ数やサイズ・スプロケットのサイズが合っているか確認しましょう。
一度、休憩してもう一度確認すると原因が見えることもあります。
どうしても分からない場合は、バイク屋に連絡して対応してもらいましょう。
問題ない方は、ここから開始。
チェーンの両端をこんな感じのパーツで連結します。


このπみたいな付属パーツを、チェーンの奥から手前に向かって挿入。


もう片方にも挿入して仮連結します。


次に、∞みたいなパーツ(リング)を仮連結したピンに通します。


クリップでチェーンを固定すればOKですが、クリップの向きには注意して下さい。
チェーンクリップは写真の向きで装着しましょう。


チェーンの進行方向とクリップの丸みを帯びた側が、同じ方向になるように固定して下さい。
ちなみにクリップの固定は、このようにピンにクリップを通して…。


フライヤーで挟めば終わりです。


4.カバーを復旧します
取り外したカバー類を復旧します。
トランスミッションのカバーを装着。


上から差し込むように入れると素直にカバーが入ります。
ペダルカバーも装着。


ワッシャーを通すのを忘れずに!
外した人はチェーンカバーも戻しましょう。


ここは普通に留めるだけ。
5.チェーン調整
カバーを復旧したら、チェーン調整をします。
チェーン調整の仕方はこちらの記事で説明してるので省略。
➔【CT125ハンターカブ】チェーン調整徹底ガイド|チェーン調整Q&A付き
交換したてのチェーンはチェーンオイルが不足しているので、チェーンルブを塗布して馴染ませます。


これで作業完了です。
最後確認は必ずしましょう!
今回は作業量が多いので、作業漏れがないか確認しましょう。
試運転は必ず車種工具を持って、短距離で様子を見ながらして下さい。
少しでも違和感を感じたら、ハンターカブを停車させて各所ボルトの緩みや干渉がないか確認するとトラブルを未然に防げます。
ハンターカブ用の車載工具も紹介しています。
➔【CT125 ハンターカブ】車載工具7種|活用法と実体験を紹介!
スプロケット交換のQ&A
疑問①:作業時間はどれくらい?
回答:2~3時間くらいかかります
作業難易度は高くないですが、初心者は2~3時間くらいかかります。
点検や部品交換をした経験がある人なら2時間もあれば十分です。
「クリップが思ったより硬くて外すのに苦労する」や「チェーンを連結するのに苦戦する」など「思ったより…」の出来事が多い印象でした。
疑問②:自分でスプロケットを交換するメリットは?
回答:コストが圧倒的に安い
スプロケット+チェーン交換をバイク屋に依頼すると、交換パーツの代金含めてだいたい8,000円程度かかります。
自分で交換した場合は、スプロケット(歯数14T)の1,500円と純正チェーンの2,200円で合計3,700円程と圧倒的に格安。
他にも自力でスプロケットを交換すると、ハンターカブの機構に詳しくなり、後の部品交換で助けになります。
疑問③:スプロケットの交換頻度は?
回答:おおよそ15,000~20,000km
距離以外にもこういった目安があります。
こうなったら、距離に関係なくスプロケット交換を交換しましょう。
疑問④:リアのスプロケットは交換しなくていいの?
回答:本当はフロント・リア・チェーンの3点交換です
基本的にはフロント/リアのスプロケット・チェーンは同時交換ですが、リア側のスプロケットはブレーキパット交換のついでに交換しています。
そのため、フロントに比べて歯の摩耗が進んでおらず交換を見送りました。
こういった事情がなければ同時交換した方が良いです。
疑問⑤:スプロケットを長く使うためには?
回答:チェーン清掃をしっかりやりましょう
スプロケットの歯が摩耗する原因は、チェーンに付着した砂や泥が研磨剤のようになり、スプロケットの歯を削ることです。
小まめにチェーン清掃をして汚れを落としてあげましょう。
定期的なチェーン清掃の仕方はこちらにまとめています。
➔【CT125ハンターカブ】チェーン清掃・チェーン張り確認のやり方